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2010.07.16 (Fri)

恋する空港 あぽやん2  新野剛志

恋する空港―あぽやん〈2〉恋する空港―あぽやん〈2〉
(2010/06)
新野 剛志

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空港=airportを略してAPO。国内最後の水際であらゆるトラブルに対応する空港のプロフェッショナルをかつて旅行会社・大航ツーリストでは「あぽやん」と呼んだ―成田空港所勤務2年目を迎えた遠藤慶太は新人教育に恋のライバル登場に悪戦苦闘。しかも、親会社・大日本航空の経営悪化の煽りを受けて空港所閉鎖の噂が!?立派な「あぽやん」目指して今日も走る遠藤の運命やいかに?爽快お仕事小説。内容(「BOOK」データベースより)

『あぽやん』の続編です。
まずは前作のおさらいです。
旅行会社大航ツーリストでは利益を生まない空港勤務のことをエアポート=APO『あぽやん』と呼んだ。
島流しとも言われる空港所勤務に飛ばされてやる気をなくしてた主人公遠藤。
遠藤が空港で様々なトラブルに巻き込まれていくうちに『あぽやん』の大切さやりがいにに目覚めて成長していく。
前作で一人前のスーパーバイザーになった遠藤が今度は枝元という同年代の新人を指導する立場の人間になります。
枝元は本社採用の正社員じゃなくてグアム現地採用のスタッフだった。
やる気はあるし愛想はいいんだけど、憶えは悪いし仕事も遅くミスも多い。
熱血指導員の遠藤はそんな枝元にイライラしっぱなしなんだけど本人はそんなことはおかまいなし。

人が死んだり、生まれたり、台風がやってきたり、相変わらず空港ではいろんなトラブルが発生していろんなドラマが生まれる。
遠藤って真面目で悪い人間じゃないんだけど誤解も受けやすい性格なんですよね。
スーパーバイザーとしては一人前でも指導者としてはちょっと余裕がない感じで読んでてもうちょっと枝元のよい面を引き出してやれよーなんて思ってしまう。
空港所って周りは女性だらけの職場で前作では割と女性陣を味方につけてたんですが今作では敵に回して孤立してしまったりする。
でもそれもこれも『お客様を笑顔で無事に旅行に送り出す』そのためなんです。
いろんなトラブルをなんとか切り抜けてやっていく毎日に今度は大問題が振りかかる。
親会社大航の経営状態悪化からのリストラ『空港所閉鎖』
そんなときに遠藤に銀行重役令嬢との結婚話が持ち上がる。

読み始めたときは前作のほうが面白いかなぁっと思っていたんですがリストラによる空港所閉鎖とか現実にも起こりそうな問題が絡み始めて俄然面白くなりました。
前作のときからちょっと気になっていた森尾との恋愛ドラマもハラハラさせてさてどうなっちゃうのか?

読後感が爽やかな気持ちで楽しめるエンタメ作品でした。


04:34  |  本(さ行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.13 (Tue)

フリン  椰月美智子

フリンフリン
(2010/06/01)
椰月 美智子

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結婚後に生じた出来心。火遊び、密会、そして道ならぬ恋…夫の裏切りに、私は裏切りで仕返しする―。『しずかな日々』『るり姉』で注目の著者が描く新境地の反道徳小説。 内容(「BOOK」データベースより)


椰月さんは『るり姉』が評判になって気になっていたけど今回の『フリン』がお初でした。
タイトルに『フリン』とあるように、この作品は部屋から川が見えるリバーサイドマンションに住む住人たちの様々なフリンの形をテーマにした連作短編集です。
これを読む前に同じ不倫を書いた島本理生さんの『あられもない祈り』を読んで不倫ってやっぱ痛々しくてどろどろしてるよなぁ~なんて思っていたら同じ不倫を書いてるのにまったくの正反対の印象を受ける短編集でした。
漢字の『不倫』だと重たいけどカタカナの『フリン』なので重々しさはなくてどちらかと言えばからっとして読後感はあったかで爽やかさを感じます。
『フリン』というキーワードでもこんな描き方もできるんだなぁ~と思わせてくれる素敵な恋愛小説集でした。

『葵さんの初恋』
主人公の真奈美の義理の父を好きになってしまう葵さんの初恋。
真奈美と葵の母親同士が知り合いってこともあって二人は顔馴染みだった。
真奈美からすれば無口で取り得のなさそうな義父なのに真奈美さんは仄かな恋心を抱く。

『シニガミ』
同じマンションに住む隣の住人は高校の同級生で初めてつきあった男性だった。
夫の浮気へのあてつけに元同級生とのフリンの関係が始まった。

『最後の恋』
アリスは光正の会社に出入りしているコピー機の業者の社員で光正は総務部の課長だった。
年齢不詳でコスプレの気があるちょっと変わったアリスに光正は恋をしてしまう。
もうすぐ初孫も生まれるというのに長年連れ添った妻と離婚して自分の娘ほど年の差が離れたアリスと結婚しようと決意する。

『年下の男の子』
中学二年生の息子章吾が友達のがっちゃんを家に遊びに連れてきた。
なんかすごくいい!!胸が苦しくなるほどがっちゃんに恋心を抱いてしまう。

『魔法がとけた夜』
結婚四年目、子供はいない。妻のあかりがフィジーに行きたいと言い出した。
フィジーには高校時代あかりが付きあっていたヤマトがいる。
夫の宗太郎はヤマトとはその当時同級生で一緒にダブルデートした仲だ。
あかりがフィジーに行くのは浮気なんだろうか?

『二人三脚』
リバーサイドマンションの管理人兼オーナーの宮崎夫妻。
穏やかで見るからに品の良さそうな老夫婦の新一と絹江。
二人には遠い昔、見た目からは想像もできないような波乱万丈の恋愛ドラマが合った。

ラストの言葉に背筋がゾクゾクっとさせられた『シニガミ』息子の同級生に妄想の恋を抱く『年下の男の子』が好みでした。
リバーサイドマンションの住人が集う『二人三脚』ではちょっとご都合主義を感じてしまったんだけど短編集最後のお話としてうまくまとまってたなぁ~と思う。

人生の酸いも甘いも噛みしめた新一の最後の台詞が心に染みてきます。

『人は生きているだけで、誰かにとって、なにかしらの意味が必ずあると思っております。皆さま方のご健康とご多幸を、心よりお祈り申し上げます』




06:56  |  本(や行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.13 (Tue)

あられもない祈り  島本理生

あられもない祈りあられもない祈り
(2010/05/13)
島本 理生

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“あなた”と“私”…名前すら必要としない二人の、密室のような恋。島本理生の新境地。至上の恋愛小説。 内容(「BOOK」データベースより)

島本さんの作品を読むのは『ナラタージュ』以来でした。
『ナラタージュ』を読んだころはまだ読書メーターなんかもやってなかったし内容もほとんど覚えてないのですが、まずまずよかったけど周りが絶賛するほどではと思ってしまったのをなんとなく覚えています。
それ以来、気にはなりながらもなかなか読む機会がありませんでした。

「山本文緒・行定勲・西加奈子・青山七恵さん絶賛の至上の恋愛小説。読売新聞、毎日新聞でも話題になった島本理生の新境地! 」の謳い文句に煽られて久しぶりに読んでみることに。

名前もない「私」と「あなた」の物語。周りの人間には名前があるのにこの二人には名前すらあたえられない。
最初から最後までずっと濃密などろどろした痛々しい絡みついてくるような文章。
どこにでもいけそうで、どこにもいくことが出来ない閉塞感たっぷりの不倫の恋愛。
読みながら切ないよりも重くて苦しい空気感に押しつぶされそうになりました。

「今回、初めて結婚している男性との恋愛を真っすぐに書きました」と島本さんはこの作品をコメントしてますが
残念ながら僕にはその真っすぐさがよく伝わらなかったようです。
05:22  |  本(さ行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(2)

2010.07.12 (Mon)

夜行観覧車  湊かなえ

夜行観覧車夜行観覧車
(2010/06/02)
湊 かなえ

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父親が被害者で母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。内容(「BOOK」データベースより)


高級住宅地「ひばりが丘」に住むエリート一家で起こった殺人事件。母親が父親を殴り殺したという。
事件の起こった高橋家は父親が医者で長男は医学部、長女は名門私立女子高、次男は人気芸能人そっくりな男前でスポーツ万能。どうして人もうらやむようなこの一家で事件は起こったのか?事件の真相は?事件当時唯一自宅にいた次男は事件後行方不明に。
その高橋家と対照的なのが向かいに住む遠藤家。
背伸びして無理してあこがれのひばりが丘に家を建てたものの「ひばりが丘で一番小さな家」と呼ばれ一人娘は受験に失敗して反抗的になり家族は崩壊寸前。
その二つの家族に昔からひばりが丘に住みこの住宅地を誇りに思う老婦人の小島さとこ。
物語は小島さとこのモノローグを挟みながら、二つの家族を対比するように不穏な雰囲気をプンプンとさせながら展開していきます。

湊さん初の三人称ですが一人称視点の語り口調は相変わらずといった感じです。
人の負のオーラ、人間のいやぁな部分の描写は秀逸でぐいぐいと読ませるリーダビリティは健在でこのあたりはさすが湊さんといった感じです。
でも物語をミステリーとして捕らえればラストはちょっと肩透かしを受けてしまう。
人間ドラマ、家族の物語として捕らえれば醜い感情ばかりが印象に残ってしまいなんかリアリティに欠けてしまうように感じてしまった。

どっちつかずの中途半端になってしまったようで少し残念な作品になってしまいました。

テーマ : 読書感想文 - ジャンル : 小説・文学

06:02  |  本(ま行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.10 (Sat)

直木賞あれこれ、、、

いよいよ来週7月15日の直木賞発表まで一週間を切りました。

今晩はラジカントロプス2.0で文学賞メッタ斬りスペシャル!第143回芥川賞、直木賞を徹底予想!が放送されますね。(ポッドキャストでも聞けます)


本命予想は大森さんが『リアル・シンデレラ』で豊崎さんが『小さいおうち』
ここへきて中島京子さんの評価が赤丸急上昇してるような気がするのは僕の気のせいだろうか?

ちなみに僕の予想は本命対抗関係なしに『小さいおうち』か道尾秀介さんの『光媒の花』だったんですが昨日、姫野さんの『リアル・シンデレラ』を読んでこれもありだなって思いました。

さて今回の直木賞候補でいろいろと話題になって気になっていることをちょこっと調べてみました。

まず道尾さんは今回で4回連続の候補になっているのですがこれは史上初かと思いましたが以前、林真理子さんが第91回~第94回まで連続候補になっているので二人目です。
道尾さんは今回受賞を逃せば9月に文藝春秋から刊行予定の『月と蟹』で史上初の5回連続候補&受賞が期待できます。
また『光媒の花』は山本周五郎を受賞していますが山周賞との同時受賞は過去に一度、第131回の熊谷達也さんの『邂逅の森』だけでもし受賞すればそれ以来二人目になります。

『天地明察』ですが本屋大賞受賞作が直木賞の候補作としてノミネートされたのはこれが初めてです。

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』は単行本ではなく新書でのノミネート。
大昔は新書での候補作はたまにあったのですが最近では珍しいです。
もし新書で受賞したら昭和42年第54回の生島治郎さんがカッパノベルス『追いつめる』以来43年振りとなります。

今回、乾ルカさん、中島京子さん、冲方丁さんの3名が初候補ですが初候補で受賞は最近は少ないのですが平成に入ってからは22名の方が初候補→受賞してます。
(101回ねじめ正一 102回星川清司 原寮 105回芦原すなお 106回高橋克彦 107回伊集院静 109回高村薫 北原亞以子 110 回佐藤雅美 大沢在昌 114回小池真理子 藤原伊織 115回乃南アサ 119回車谷長吉 121回佐藤賢一 123回船戸与一 金城一紀 124回山本文緒 126回山本一力 唯川恵 129回 村山由佳 131回熊谷達也)

こうやってみると以前は結構初候補→受賞もあったんだなって印象がありますね。
17:13  |  その他  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
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