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2010.08.13 (Fri)

風待ちひと  伊吹有喜

風待ちのひと風待ちのひと
(2009/06/19)
伊吹 有喜

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“心の風邪”で休職中の男と、家族を亡くした傷を抱える女。海辺の町で、ふたりは出会った―。心にさわやかな風が吹きぬける、愛と再生の物語。第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作。
内容(「BOOK」データベースより)


初めて読む作家さんでした。
「風待ちのひと」ってタイトルがウインドサーファーの僕にぴったりだなぁ~っと思って読み始めましたが物語は当然ウインドとはまったく関係ありません(笑)

最初、有喜って名前から作家が男性なのか女性なのかわからないまま読み始めましたが文章の雰囲気から女性作家さんだとすぐ気づきました。

物語は簡単に言ってみればアラフォーの男と女が海辺の町で出会ってひと夏の恋に落ちていくといったなんかどこかにあったような話しなんですがこれがすごく心に染みこんでくるのです。

主人公の哲司は東大卒のエリート銀行員、妻は同級生で外資系の証券会社でバリバリのキャリアウーマン。
哲司は銀行の吸収合併で次第に窓際へ、年収を妻にはるかに抜かされて仕事にも家庭にも疲れを感じるようになった。
そんなときに母が死にそれをきっかけにしたように首が右に回らなくなり会社に行けなくなってしまった。
病院で精神的なものと診断され休職して静養をかねて母の実家を整理するために実家のある南紀の海辺の町へ。

そこで「ペコちゃん」と呼ばれる喜美子に出会って彼女に母親の遺品整理を手伝ってもらうことに。

愛嬌たっぷりの喜美子は屈託なくずけずけと哲司の心に入ってくるので最初はおせっかいな女やなぁーっと思ってたんですがそんな喜美子にも子供と夫を亡くすといった心の傷を負った過去があった。
それなのにそんな自分の過去のことはおくびにも出さず、どこまでも明るく自分のことをバカでおばちゃんだと言う喜美子が途中からはとっても可愛くていい女に見えて抱きしめたくなってくる。

そんな喜美子のおかげで哲司は徐々に人間らしさを取り戻していく。

そのあとも哲司と妻、喜美子のまわりでいろんなドラマが巻き起こるのですが、いまからでも遅くない、もう一度人生を二人で再生しよう、こうやって書くとなんか陳腐な気がしてしまうんですがそこにいきつくまでの二人の心の葛藤、距離感があったかくも切なかった。

主人公の二人は僕より少し年下なんですが読みながら自分自身の今までの人生と重ね合わせてしまって、いろんな思いが僕の頭の中を駆け巡り、心が揺さぶられて、熱い何かが込み上げてくるのを抑えられない、そんな物語でした。

南紀の海辺の町、岬の家、オペラ椿姫、チキチキ南蛮、といった風景、音楽、食べ物といった小道具も憎いぐらいに物語にマッチしてましたね。


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11:43  |  本(あ行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(1)

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