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2010.07.27 (Tue)

金曜のバカ  越谷オサム

金曜のバカ金曜のバカ
(2010/01/30)
越谷 オサム

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天然女子高生と気弱なストーカーが繰り返す、週に一度の奇天烈な逢瀬のの行き着く先は――?(「金曜のバカ」) ピュア過ぎてアブノーマルなヤツらが繰り広げる妄想と葛藤! ちょっと変でかわいい短編小説集

越谷さんの小説を読むのは『階段途中のビッグノイズ』以来二作品目です。
『階段途中のビッグノイズ』は軽音楽部だった高校時代を思い出してちょっとベタだなぁーっと思いながらも楽しく懐かしく面白く読めました。
今回の『金曜のバカ』は五つの作品からなるキュートでロマンチックで爽やかな青春小説短編集です。
これも見事にやられてしまいました。

若いっていいよなぁ~青春だなぁ~ 読みながらおっさんなのに妄想男子だった昔を思い出して胸がズギューンとして知らない間に、にやけてしまう。

タイトル作の『金曜のバカ』は、んん?援交?なんだなんだ?今どきの女子高生は・・・なんて勘違いさせてくれる出だしから始まって天然女子高生とその女子高生を運命の人だと思い込んでしまう妄想引きこもりストーカー青年が決闘するというありえない展開へと話が進んでいく。

『星とミルクティー』は妻の初めてのお産に立ち会うべく病院へ急ぐ主人公がなぜか八年前の流星群の夜に一度だけ出会った顔をよくわからない女の子のことを思い出してしまってどうしようもなくなる。

『この町』は愛媛県松山に住む高校生のカップルが主人公で彼が彼女を誘ってお正月東京へバスで遊びにいくことを計画して彼女とあんなことやムフフなことやあぁーやってこーやってと妄想を膨らまして期待に胸を躍らせてバスへ乗り込んだのに彼女はドタキャン・・・

『僕の愉しみ 彼女のたしなみ』は恐竜オタクの主人公がそれをひた隠しして彼女と付き合ってデートするのですが彼女にも人に言えない・・・

『ゴンとナナ』は吹奏楽部を辞めたナナと飼い犬の老柴犬のゴンのちょっぴりホロ苦い物語。

どの作品もオバカであったかくてちょい切なくて楽しんで面白く読めたのですが自分の高校時代の妄想をたっぷりと思い出させてくれた『この町』とむっちゃいじらしくて可愛らしくて微笑ましい『僕の愉しみ 彼女のたしなみ』が特にお気に入りです。

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05:51  |  本(か行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(0)

2010.07.27 (Tue)

光待つ場所へ  辻村深月

光待つ場所へ光待つ場所へ
(2010/06/24)
辻村 深月

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T大学文学部二年生、清水あやめ。「感性」を武器に絵を描いてきたという自負がある。しかし、授業で男子学生・田辺が作った美しい映像作品を見て、生まれて初めて圧倒的な敗北感を味わい…。内容(「BOOK」データベースより)


短編三作からなる辻村さんの青春小説集。三篇とも以前発表した長編作品のスピンオフになっています。

僕は『スロウハイツの神様』『凍りのくじら』は読んでいたのですが辻村さんの独特の世界観を楽しむためにはすべての作品を読まないと面白さが半減しちゃうんだろうなぁ~
それでもひとつひとつの短編は味わい深く読めました。
辻村さんって最近は作品の幅が広がってきてますが元々青春ミステリー小説を中心に書いてきたのでミステリーではない短編ですがやっぱりうまいです。

青春の持つ瑞々しさと切ないイタミ、心の葛藤と不安といった心理描写は描くのは抜群です。

この作品集の『光待つ場所へ』ってタイトルもすごくいいですよね。

青春の冷たくて暗い迷い道に一筋の柔らかな光が射している。その光を目指して歩み始める。そして切ないイタミはあったかな光に包まれる。

読み終わったあと僕の頭の中にはこんなイメージが浮かんでました。
05:04  |  本(た行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(0)

2010.07.18 (Sun)

ええもんひとつ とびきり屋見立て帖   山本兼一

ええもんひとつ―とびきり屋見立て帖ええもんひとつ―とびきり屋見立て帖
(2010/06)
山本 兼一

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幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆず。わけありの道具を「見立て」、癖のある人々を「目利き」しながら、ふたりは少しずつ成長してゆく―。動乱の京都を舞台に、「道具」と夫婦愛を描いた佳品六篇を収録。
内容(「BOOK」データベースより)


幕末の京都を舞台にして道具屋『とびきり屋』を営む真之介、ゆずの若夫婦の成長物語。『千両花嫁』の続編です。
二人はもともと京都でも名代の道具商『からふね屋』の愛娘と番頭だったんですが駆け落ちして夫婦になりました。
熱意と度胸で店を切り盛りしていく真之介を確かな目利きの眼力でゆずがサポートする。
いろんな道具にまつわる物語に幕末の志士が絡んでいく展開は楽しく読めました。
一話ごとに二人が失敗と成功を繰り返しながら力を合わせて成長していく姿にはあったかな夫婦愛を感じていいなぁ~と思う。
『ええ女房や』と真之介がつぶやけば『旦那さんが、ええさかいやし』とゆずが切り返す。とてもお似合いの若夫婦の姿にはにんまりとして思わずほっこり。
ゆずのキャラクターがとってもいいですね。
04:11  |  本(や行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.16 (Fri)

恋する空港 あぽやん2  新野剛志

恋する空港―あぽやん〈2〉恋する空港―あぽやん〈2〉
(2010/06)
新野 剛志

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空港=airportを略してAPO。国内最後の水際であらゆるトラブルに対応する空港のプロフェッショナルをかつて旅行会社・大航ツーリストでは「あぽやん」と呼んだ―成田空港所勤務2年目を迎えた遠藤慶太は新人教育に恋のライバル登場に悪戦苦闘。しかも、親会社・大日本航空の経営悪化の煽りを受けて空港所閉鎖の噂が!?立派な「あぽやん」目指して今日も走る遠藤の運命やいかに?爽快お仕事小説。内容(「BOOK」データベースより)

『あぽやん』の続編です。
まずは前作のおさらいです。
旅行会社大航ツーリストでは利益を生まない空港勤務のことをエアポート=APO『あぽやん』と呼んだ。
島流しとも言われる空港所勤務に飛ばされてやる気をなくしてた主人公遠藤。
遠藤が空港で様々なトラブルに巻き込まれていくうちに『あぽやん』の大切さやりがいにに目覚めて成長していく。
前作で一人前のスーパーバイザーになった遠藤が今度は枝元という同年代の新人を指導する立場の人間になります。
枝元は本社採用の正社員じゃなくてグアム現地採用のスタッフだった。
やる気はあるし愛想はいいんだけど、憶えは悪いし仕事も遅くミスも多い。
熱血指導員の遠藤はそんな枝元にイライラしっぱなしなんだけど本人はそんなことはおかまいなし。

人が死んだり、生まれたり、台風がやってきたり、相変わらず空港ではいろんなトラブルが発生していろんなドラマが生まれる。
遠藤って真面目で悪い人間じゃないんだけど誤解も受けやすい性格なんですよね。
スーパーバイザーとしては一人前でも指導者としてはちょっと余裕がない感じで読んでてもうちょっと枝元のよい面を引き出してやれよーなんて思ってしまう。
空港所って周りは女性だらけの職場で前作では割と女性陣を味方につけてたんですが今作では敵に回して孤立してしまったりする。
でもそれもこれも『お客様を笑顔で無事に旅行に送り出す』そのためなんです。
いろんなトラブルをなんとか切り抜けてやっていく毎日に今度は大問題が振りかかる。
親会社大航の経営状態悪化からのリストラ『空港所閉鎖』
そんなときに遠藤に銀行重役令嬢との結婚話が持ち上がる。

読み始めたときは前作のほうが面白いかなぁっと思っていたんですがリストラによる空港所閉鎖とか現実にも起こりそうな問題が絡み始めて俄然面白くなりました。
前作のときからちょっと気になっていた森尾との恋愛ドラマもハラハラさせてさてどうなっちゃうのか?

読後感が爽やかな気持ちで楽しめるエンタメ作品でした。


04:34  |  本(さ行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.13 (Tue)

フリン  椰月美智子

フリンフリン
(2010/06/01)
椰月 美智子

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結婚後に生じた出来心。火遊び、密会、そして道ならぬ恋…夫の裏切りに、私は裏切りで仕返しする―。『しずかな日々』『るり姉』で注目の著者が描く新境地の反道徳小説。 内容(「BOOK」データベースより)


椰月さんは『るり姉』が評判になって気になっていたけど今回の『フリン』がお初でした。
タイトルに『フリン』とあるように、この作品は部屋から川が見えるリバーサイドマンションに住む住人たちの様々なフリンの形をテーマにした連作短編集です。
これを読む前に同じ不倫を書いた島本理生さんの『あられもない祈り』を読んで不倫ってやっぱ痛々しくてどろどろしてるよなぁ~なんて思っていたら同じ不倫を書いてるのにまったくの正反対の印象を受ける短編集でした。
漢字の『不倫』だと重たいけどカタカナの『フリン』なので重々しさはなくてどちらかと言えばからっとして読後感はあったかで爽やかさを感じます。
『フリン』というキーワードでもこんな描き方もできるんだなぁ~と思わせてくれる素敵な恋愛小説集でした。

『葵さんの初恋』
主人公の真奈美の義理の父を好きになってしまう葵さんの初恋。
真奈美と葵の母親同士が知り合いってこともあって二人は顔馴染みだった。
真奈美からすれば無口で取り得のなさそうな義父なのに真奈美さんは仄かな恋心を抱く。

『シニガミ』
同じマンションに住む隣の住人は高校の同級生で初めてつきあった男性だった。
夫の浮気へのあてつけに元同級生とのフリンの関係が始まった。

『最後の恋』
アリスは光正の会社に出入りしているコピー機の業者の社員で光正は総務部の課長だった。
年齢不詳でコスプレの気があるちょっと変わったアリスに光正は恋をしてしまう。
もうすぐ初孫も生まれるというのに長年連れ添った妻と離婚して自分の娘ほど年の差が離れたアリスと結婚しようと決意する。

『年下の男の子』
中学二年生の息子章吾が友達のがっちゃんを家に遊びに連れてきた。
なんかすごくいい!!胸が苦しくなるほどがっちゃんに恋心を抱いてしまう。

『魔法がとけた夜』
結婚四年目、子供はいない。妻のあかりがフィジーに行きたいと言い出した。
フィジーには高校時代あかりが付きあっていたヤマトがいる。
夫の宗太郎はヤマトとはその当時同級生で一緒にダブルデートした仲だ。
あかりがフィジーに行くのは浮気なんだろうか?

『二人三脚』
リバーサイドマンションの管理人兼オーナーの宮崎夫妻。
穏やかで見るからに品の良さそうな老夫婦の新一と絹江。
二人には遠い昔、見た目からは想像もできないような波乱万丈の恋愛ドラマが合った。

ラストの言葉に背筋がゾクゾクっとさせられた『シニガミ』息子の同級生に妄想の恋を抱く『年下の男の子』が好みでした。
リバーサイドマンションの住人が集う『二人三脚』ではちょっとご都合主義を感じてしまったんだけど短編集最後のお話としてうまくまとまってたなぁ~と思う。

人生の酸いも甘いも噛みしめた新一の最後の台詞が心に染みてきます。

『人は生きているだけで、誰かにとって、なにかしらの意味が必ずあると思っております。皆さま方のご健康とご多幸を、心よりお祈り申し上げます』




06:56  |  本(や行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.13 (Tue)

あられもない祈り  島本理生

あられもない祈りあられもない祈り
(2010/05/13)
島本 理生

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“あなた”と“私”…名前すら必要としない二人の、密室のような恋。島本理生の新境地。至上の恋愛小説。 内容(「BOOK」データベースより)

島本さんの作品を読むのは『ナラタージュ』以来でした。
『ナラタージュ』を読んだころはまだ読書メーターなんかもやってなかったし内容もほとんど覚えてないのですが、まずまずよかったけど周りが絶賛するほどではと思ってしまったのをなんとなく覚えています。
それ以来、気にはなりながらもなかなか読む機会がありませんでした。

「山本文緒・行定勲・西加奈子・青山七恵さん絶賛の至上の恋愛小説。読売新聞、毎日新聞でも話題になった島本理生の新境地! 」の謳い文句に煽られて久しぶりに読んでみることに。

名前もない「私」と「あなた」の物語。周りの人間には名前があるのにこの二人には名前すらあたえられない。
最初から最後までずっと濃密などろどろした痛々しい絡みついてくるような文章。
どこにでもいけそうで、どこにもいくことが出来ない閉塞感たっぷりの不倫の恋愛。
読みながら切ないよりも重くて苦しい空気感に押しつぶされそうになりました。

「今回、初めて結婚している男性との恋愛を真っすぐに書きました」と島本さんはこの作品をコメントしてますが
残念ながら僕にはその真っすぐさがよく伝わらなかったようです。
05:22  |  本(さ行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(2)

2010.07.12 (Mon)

夜行観覧車  湊かなえ

夜行観覧車夜行観覧車
(2010/06/02)
湊 かなえ

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父親が被害者で母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。内容(「BOOK」データベースより)


高級住宅地「ひばりが丘」に住むエリート一家で起こった殺人事件。母親が父親を殴り殺したという。
事件の起こった高橋家は父親が医者で長男は医学部、長女は名門私立女子高、次男は人気芸能人そっくりな男前でスポーツ万能。どうして人もうらやむようなこの一家で事件は起こったのか?事件の真相は?事件当時唯一自宅にいた次男は事件後行方不明に。
その高橋家と対照的なのが向かいに住む遠藤家。
背伸びして無理してあこがれのひばりが丘に家を建てたものの「ひばりが丘で一番小さな家」と呼ばれ一人娘は受験に失敗して反抗的になり家族は崩壊寸前。
その二つの家族に昔からひばりが丘に住みこの住宅地を誇りに思う老婦人の小島さとこ。
物語は小島さとこのモノローグを挟みながら、二つの家族を対比するように不穏な雰囲気をプンプンとさせながら展開していきます。

湊さん初の三人称ですが一人称視点の語り口調は相変わらずといった感じです。
人の負のオーラ、人間のいやぁな部分の描写は秀逸でぐいぐいと読ませるリーダビリティは健在でこのあたりはさすが湊さんといった感じです。
でも物語をミステリーとして捕らえればラストはちょっと肩透かしを受けてしまう。
人間ドラマ、家族の物語として捕らえれば醜い感情ばかりが印象に残ってしまいなんかリアリティに欠けてしまうように感じてしまった。

どっちつかずの中途半端になってしまったようで少し残念な作品になってしまいました。

テーマ : 読書感想文 - ジャンル : 小説・文学

06:02  |  本(ま行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.10 (Sat)

直木賞あれこれ、、、

いよいよ来週7月15日の直木賞発表まで一週間を切りました。

今晩はラジカントロプス2.0で文学賞メッタ斬りスペシャル!第143回芥川賞、直木賞を徹底予想!が放送されますね。(ポッドキャストでも聞けます)


本命予想は大森さんが『リアル・シンデレラ』で豊崎さんが『小さいおうち』
ここへきて中島京子さんの評価が赤丸急上昇してるような気がするのは僕の気のせいだろうか?

ちなみに僕の予想は本命対抗関係なしに『小さいおうち』か道尾秀介さんの『光媒の花』だったんですが昨日、姫野さんの『リアル・シンデレラ』を読んでこれもありだなって思いました。

さて今回の直木賞候補でいろいろと話題になって気になっていることをちょこっと調べてみました。

まず道尾さんは今回で4回連続の候補になっているのですがこれは史上初かと思いましたが以前、林真理子さんが第91回~第94回まで連続候補になっているので二人目です。
道尾さんは今回受賞を逃せば9月に文藝春秋から刊行予定の『月と蟹』で史上初の5回連続候補&受賞が期待できます。
また『光媒の花』は山本周五郎を受賞していますが山周賞との同時受賞は過去に一度、第131回の熊谷達也さんの『邂逅の森』だけでもし受賞すればそれ以来二人目になります。

『天地明察』ですが本屋大賞受賞作が直木賞の候補作としてノミネートされたのはこれが初めてです。

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』は単行本ではなく新書でのノミネート。
大昔は新書での候補作はたまにあったのですが最近では珍しいです。
もし新書で受賞したら昭和42年第54回の生島治郎さんがカッパノベルス『追いつめる』以来43年振りとなります。

今回、乾ルカさん、中島京子さん、冲方丁さんの3名が初候補ですが初候補で受賞は最近は少ないのですが平成に入ってからは22名の方が初候補→受賞してます。
(101回ねじめ正一 102回星川清司 原寮 105回芦原すなお 106回高橋克彦 107回伊集院静 109回高村薫 北原亞以子 110 回佐藤雅美 大沢在昌 114回小池真理子 藤原伊織 115回乃南アサ 119回車谷長吉 121回佐藤賢一 123回船戸与一 金城一紀 124回山本文緒 126回山本一力 唯川恵 129回 村山由佳 131回熊谷達也)

こうやってみると以前は結構初候補→受賞もあったんだなって印象がありますね。
17:13  |  その他  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.10 (Sat)

リアル・シンデレラ  姫野カオルコ

リアル・シンデレラリアル・シンデレラ
(2010/03/19)
姫野 カオルコ

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内容紹介
誰もが知っている「シンデレラ」の物語。その物語をテーマに文章を書こうとしていた私が紹介された一人の人物――倉島泉。複数の関係者から話を聞いた私は、彼女に興味を持つ。多くの証言から浮かび上がってきた彼女の人生とは? 本当の幸福を知りたい人に贈る、姫野カオルコ待望の長編小説。


姫野さんは直木賞候補もこれが4回目でもうベテランといっていい作家さんなんですが読むのはこの作品が初めてでした。

なんか今までこの〝姫野カオルコ〟って名前だけでなんとなく敬遠してきたんですよねー
でもなんかそういうのってありません?

でもこれが読んでみてすごくよかったのです。
この作品は倉島泉って女性の一代記を描いたものですがドラマチックな展開や派手さはなくてどちらかというと地味な物語です。

よく女性の成功や幸せを俗にシンデレラストーリーと呼ぶけれどシンデレラって本当に幸せだったんだろうか?

本当の幸せとは?

そんなことをじんわりと考えさせてくれる深いいお話しでした。

物語は小さな編集プロダクションで有名な童話を翻案小説にしてムック本として出版する企画の中で「シンデレラ」ってどうなん?彼女って本当に幸せだったんだろか?ってところから始まります。
そのプロダクションの社長が「おれ、幸せっていうのは・・・・、泉(セン)ちゃんみたいな人生だと思うんだよな・・・」

泉ちゃんとはその昔プロダクションを立ち上げたときに会計をしてた人の義理の姉らしい。

社長のひと言で泉ちゃんの一代記を書くことになり筆者は取材を始めることになった。

筆者は取材を進めるうちに倉島泉(クラシマセン)に強い興味を覚えこんな人もいたんだと多くの人に伝えたいと思った。

話しは筆者が取材した様々な人の視点をとおして泉ちゃんの人生が語られます。

泉ちゃんは長野県諏訪温泉旅館の長女として生まれたんですが生まれる前日に母親の父が死に生まれた夜に母親の母が死んでしまい不吉な子だと母親に言われてしまう。
一年後に妹が生まれ母親は自分にそっくりで美人な妹を甘やかし、なぜか自分にまったく似てない泉に冷たくあたります。

妹の深芳は「倉島さんところのあのきれいな」と言われ、泉は「上の、きれいじゃないほうの・・下とは違って」と周りからは揶揄された。

女将の長女なのに旅館の従業員からは「あの畑女」「あの掃除のおばちゃん」と言われるセンチャン。
昼間は畑を耕し、夜はラジオを聞きながらわらじを編んでもくもくと生きていくセンチャン。

なんか読みながら僕の頭の中では宮沢賢治の〝雨ニモマケズ〟の詩が浮かんでました。

不器用で自分の感情を表にだすことが下手で鈍感だと言われ、いろんな人に誤解されてしまう。
それでも健気に生きていく〝センチャン〟の人生。

こういう風に書いてたらどこがシンデレラでどこが幸せなんだろうって思われるでしょうが確かにセンチャンは幸せだったのです。

うまく説明出来ませんがそれはこの作品を読めば誰もが納得できると思います。

幸せって他人の目から見たもの見えるものじゃないんですよ。

人の目からは不幸にしか見えない人生でもその人が幸せなんだと感じたらそれは幸せなんです。

この作品はそんな幸せの価値観についてを読み手に教えてくれます。

センチャンが小学六年のときに秘密基地で会った貂(テン)に似た人に三つのお願いをします。

ラストでその三つ目のお願いの内容が明らかになった瞬間、鼻の奥がツンとしました。
10:46  |  本(は行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(2)

2010.07.06 (Tue)

白と黒が出会うとき  新堂冬樹

白と黒が出会うとき白と黒が出会うとき
(2010/04/10)
新堂 冬樹

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内容(「BOOK」データベースより)
聖地で出会った、ふたつの星、私が愛したのは悪魔だった。医療業界最大の闇(タブー)。病院に蠢く、乗っ取り屋という病魔。


以前は新刊が出るたびに読んでた新堂作品ですが毎度同じような作風で食傷気味になって最近はあまり読んでませんでした。

今回の作品は初の医療系ってことでちょっとだけ期待して読んでみたのですが、舞台が病院に変わっただけでいつもの新堂作品でした。

現代のナイチンゲールともいえる献身的な看護師の早苗。
父親を医療ミスで亡くし母親に育てられた恭二。
中学生になり病院に父親を殺された事実を知り不良とつき合うようになり、高1で母親が過労で死ぬとさらにエスカレートしてヤクザ顔負けのチンピラになっていた。
そんなときに「久我グループ」の会長久我に拾われ、金融業の取立て、地上げ、先物取引と暴力だけではない大人の戦い方を叩き込まれた。。
「久我グループ」が「医療コンサルト」実態は病院乗っ取り屋を立ち上げ恭二は病院への復讐を誓う。
そんな恭二が乗っ取りのために早苗に近づき陥れていく。

現実味に乏しく、新堂さんが描くとどこの裏社会も一緒になっちゃいますねー。

白(早苗)と黒(恭二)が出会って灰色になっていく。
ラストはあざとい泣かせのパターン。

どうせならデビュー時のような徹底的に黒に染めてしまったほうが新堂さんらしくてよかったかもと思ってしまいました。



00:57  |  本(さ行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.06 (Tue)

柚子の花咲く  葉室麟

柚子の花咲く柚子の花咲く
(2010/06/04)
葉室 麟

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内容(「BOOK」データベースより)
恩師殺害の真相を探るべく若き日坂藩士・筒井恭平は隣藩への決死の潜入を試みる―魂を揺さぶる感動の長篇時代小説。


書き下ろしが多い葉室さんですが今回の作品は『小説トリッパー』に連載されたものに加筆修正した作品です。

日坂藩士、郡方筒井恭平のかっての恩師、梶与五郎が隣藩で殺された。続いて同じ教え子で友でもある穴見孫一も同じ鵜ノ島藩で遺骸となって見つかった。
恭平はその真相を探るために鵜ノ島藩へと潜入を試みる。
次第に明らかになっていく真実、浮かび上がってくる恩師の本当の姿。
真の教え、そして学びとは?友情とは?自分のことを大切に思ってくれるひとの心を大事にして、好きなひとへの愛を貫く。
恭平たちと子供たちが重なりあうラストは胸がじーんと熱くなってしまいました。

葉室さんらしいいぶし銀とも言える作品でした。

派手さはありませんがじんわりと心に届くものがある感動作です。

『桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く』

作中なんどもでてくる言葉ですがこの言葉を噛みしめながらゆっくりと何年かかってもいいからしっかりと自分の生きていく道を見つける。

慌しいこの世の中ですが、だからこそ本当の意味での〝ゆとり教育〟
その大切さを教えてくれる作品でした。


00:18  |  本(は行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.07.03 (Sat)

第143回芥川賞、直木賞候補作発表

候補作、発表されましたね。

【芥川賞】
・赤染晶子「乙女の密告」(新潮6月号)
・鹿島田真希「その暁のぬるさ」(すばる4月号)
・柴崎友香「ハルツームにわたしはいない」(新潮6月号)
・シリン・ネザマフィ「拍動」(文学界6月号)
・広小路尚祈「うちに帰ろう」(文学界4月号)
・穂田川洋山「自由高さH」(文学界6月号)

【直木賞】
・乾ルカ「あの日にかえりたい」(実業之日本社)
・冲方丁「天地明察」(角川書店)
・中島京子「小さいおうち」(文芸春秋)
・姫野カオルコ「リアル・シンデレラ」(光文社)
・万城目学「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」(筑摩書房)
・道尾秀介「光媒の花」(集英社)

毎回のことながら芥川賞はさっぱりわかりませんねん^^;
(シリンさんがイランの人で候補が二回目ってことと鹿島田さんと柴崎さんの名前を知ってる程度、、、シリンさんイラン人やから賞もイランのかなぁーってしょうもないことを考えるぐらいのオバカなbanchiです)

直木賞候補は「天地明察」「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」「光媒の花」の三冊が既読でした。
前回は発表までにすべて読むことができたのですが、今回は慌てて未読の三冊を図書館に予約はしましたが発表までにはとうてい読めそうにありません。

既読の中では「天地明察」が物語的には一番面白かったのですが、冲方さん今回が初候補だし直木賞って時代小説にはけっこー手厳しいんですよね、、特にあのひととあのひとが・・・

マキメさんは大好きだし「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」もよかったと思うんですが直木賞ってファンタジーにもうるさいのね。
前に「鹿男あをによし」が候補になったときに「鹿が喋るなんて安易すぎる」とかいったあのひとが「かのこちゃん~」の「犬語を話す猫」をわかってくれるのか不安です。
なんせちくまプリマー新書やしね。
話しはそれますがモリミーの「ペンギン・ハイウェイ」が候補に選ばれてペンギンVS猫、アオヤマ君VSかのこちゃんの対決が見たかったなぁ~

道尾さんはこれで四作品連続候補作ノミネートです。
数ある作家さんの中でもこれだけ高い水準の作品をコンスタントに書き続ける高アベレージヒッターはいてないでしょ~いまや文学界のイチローです。
この間の山本周五郎賞の選評を「小説新潮」で読んだのですが「光媒の花」はとりわけ道尾さんの中ですぐれている作品ではないけど高水準の小説を次々と発表してるってあわせ技的な受賞だうんぬんと講評されてました。
今回の直木賞が同じような理由で「光媒の花」を受賞させるのかどうかはすごく興味深いものがあります。
いままでに山本周五郎賞と直木賞の同時受賞は熊谷さんひとりしかいてないですしね。
大森さんはツィッターでは道尾さんは今年9月に文春から刊行予定の「月と蟹」で次回の直木賞受賞予定ですなんて言ってるし(笑)

さて読んでない三作品なんですが姫野さんが候補四回目のすでにベテランの域に達してるかなって作家さんです。(他の作品も読んだことがないのでよくわかりません)
中島さんは短編しか読んだことがないのですがそれがすごくよかったので今回候補の「小さいおうち」も気になっていた作品です。
中島さん、ここんとこすごく評判がいいですしね。
乾さんはまったくのノーマークでしたがこのひとも一部の本読みさんからは絶賛されてますよね。

で、、僕の予想ですがはっきりした理由はないのですが道尾さんか中島さんが受賞するんじゃないかなぁーっと思ってます。

最近は以前ほど直木賞にたいして熱くなれないのですがそれでも年に二回のお祭り騒ぎ楽しみたいと思います。

僕の場合、いろんな人の予想とかそのあとの選評などを読むのがまた楽しみなんですよね。
ツィッターでも#143Nのハッシュタグで豊崎しゃちょー、大森さんをはじめいろんなひとが好きなこと言ってるのがめちゃ面白ーです^^

選評と言えばさきほども書きましたが山本周五郎賞での浅田次郎さんの講評がすごくよかったです。(候補者を道場破りに見立てて粋に評価していてさすが遊び心のある浅田さんだなっと思いました)

さて、、発表は15日、、なにはともあれ楽しみな二週間が今回もはじまりました。

05:18  |  その他  |  トラックバック(1)  |  コメント(0)

2010.07.02 (Fri)

ペンギン・ハイウェイ  森見登美彦

ペンギン・ハイウェイペンギン・ハイウェイ
(2010/05/29)
森見 登美彦

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内容(「BOOK」データベースより)
小学4年生のぼくが住む郊外の街に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎の研究を始めるが―。冒険と驚きに満ちた長編小説。


モリミーが初めて京都以外の街を舞台とした小説、しかも主人公は大学生じゃなくて小学生だ。
土地の名前は出てこないがモリミーが小学生から高校まで住んでいた奈良県の郊外の住宅地をイメージして書かれたようです。

ある日突然、街にペンギンが現れた。それには歯科医院の素敵なお姉さんが関係しているらしい。
主人公のアオヤマ君は小生意気な小学4年生。でも全然憎めない。お姉さんとペンギンの謎を研究する科学の子、無敵の小学生だ。同じクラスのウチダ君とは探検隊を組織している。「スズキ君帝国」の皇帝、スズキ君はウチダ君やアオヤマ君に意地悪をする。だけどアオヤマ君は決して動じない。
二人は〈海〉の謎を研究してるハマモトさんと一緒に森の中を探検する。

アオヤマ君やウチダ君そしてハマモトさんも妙に理屈っぽくて大人みたいな語り口なんだけどところどころに出てくる子供の部分が読んでて微笑ましい。

僕が住んでいたのも新興住宅地、いわゆる郊外の街だったので年代はちょっと違うけれど雰囲気はわかるし読んでて懐かしさを感じました。(やっぱり小学生の頃友達と探検したし秘密基地を作ったりしたものです)
歯科医院と言えば小学生の頃は怖くて痛いイメージしかなかったけど素敵なお姉さんがいてたらまた違ったのかなぁ。
地球は丸いけれど世界の果てはすぐそこにある。小学生の頃は自分の知らない土地に行くとなんか世界の果てまできたよな気分になったのを覚えています。

そんな感覚をモリミーは不思議なお話しとして生き生きとすごくうまく描いています。

最後のSFっぽい部分はちょっと理解しにくいところもありましたがアオヤマ君とお姉さんとのサヨナラはとても切なくて、ぼくはお姉さんがたいへん大好きだったんだと気づくアオヤマ君の初恋の物語としてもよかった。

初恋と世界の果てと森の秘密、重なりあって溶け合ってとても不思議ですごくすごく素敵な物語でした。

「怒りそうなったらおっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ」うーーんこれは名言ですね。
06:12  |  本(ま行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
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