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2010.07.10 (Sat)

リアル・シンデレラ  姫野カオルコ

リアル・シンデレラリアル・シンデレラ
(2010/03/19)
姫野 カオルコ

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内容紹介
誰もが知っている「シンデレラ」の物語。その物語をテーマに文章を書こうとしていた私が紹介された一人の人物――倉島泉。複数の関係者から話を聞いた私は、彼女に興味を持つ。多くの証言から浮かび上がってきた彼女の人生とは? 本当の幸福を知りたい人に贈る、姫野カオルコ待望の長編小説。


姫野さんは直木賞候補もこれが4回目でもうベテランといっていい作家さんなんですが読むのはこの作品が初めてでした。

なんか今までこの〝姫野カオルコ〟って名前だけでなんとなく敬遠してきたんですよねー
でもなんかそういうのってありません?

でもこれが読んでみてすごくよかったのです。
この作品は倉島泉って女性の一代記を描いたものですがドラマチックな展開や派手さはなくてどちらかというと地味な物語です。

よく女性の成功や幸せを俗にシンデレラストーリーと呼ぶけれどシンデレラって本当に幸せだったんだろうか?

本当の幸せとは?

そんなことをじんわりと考えさせてくれる深いいお話しでした。

物語は小さな編集プロダクションで有名な童話を翻案小説にしてムック本として出版する企画の中で「シンデレラ」ってどうなん?彼女って本当に幸せだったんだろか?ってところから始まります。
そのプロダクションの社長が「おれ、幸せっていうのは・・・・、泉(セン)ちゃんみたいな人生だと思うんだよな・・・」

泉ちゃんとはその昔プロダクションを立ち上げたときに会計をしてた人の義理の姉らしい。

社長のひと言で泉ちゃんの一代記を書くことになり筆者は取材を始めることになった。

筆者は取材を進めるうちに倉島泉(クラシマセン)に強い興味を覚えこんな人もいたんだと多くの人に伝えたいと思った。

話しは筆者が取材した様々な人の視点をとおして泉ちゃんの人生が語られます。

泉ちゃんは長野県諏訪温泉旅館の長女として生まれたんですが生まれる前日に母親の父が死に生まれた夜に母親の母が死んでしまい不吉な子だと母親に言われてしまう。
一年後に妹が生まれ母親は自分にそっくりで美人な妹を甘やかし、なぜか自分にまったく似てない泉に冷たくあたります。

妹の深芳は「倉島さんところのあのきれいな」と言われ、泉は「上の、きれいじゃないほうの・・下とは違って」と周りからは揶揄された。

女将の長女なのに旅館の従業員からは「あの畑女」「あの掃除のおばちゃん」と言われるセンチャン。
昼間は畑を耕し、夜はラジオを聞きながらわらじを編んでもくもくと生きていくセンチャン。

なんか読みながら僕の頭の中では宮沢賢治の〝雨ニモマケズ〟の詩が浮かんでました。

不器用で自分の感情を表にだすことが下手で鈍感だと言われ、いろんな人に誤解されてしまう。
それでも健気に生きていく〝センチャン〟の人生。

こういう風に書いてたらどこがシンデレラでどこが幸せなんだろうって思われるでしょうが確かにセンチャンは幸せだったのです。

うまく説明出来ませんがそれはこの作品を読めば誰もが納得できると思います。

幸せって他人の目から見たもの見えるものじゃないんですよ。

人の目からは不幸にしか見えない人生でもその人が幸せなんだと感じたらそれは幸せなんです。

この作品はそんな幸せの価値観についてを読み手に教えてくれます。

センチャンが小学六年のときに秘密基地で会った貂(テン)に似た人に三つのお願いをします。

ラストでその三つ目のお願いの内容が明らかになった瞬間、鼻の奥がツンとしました。
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10:46  |  本(は行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(2)

2010.07.06 (Tue)

柚子の花咲く  葉室麟

柚子の花咲く柚子の花咲く
(2010/06/04)
葉室 麟

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内容(「BOOK」データベースより)
恩師殺害の真相を探るべく若き日坂藩士・筒井恭平は隣藩への決死の潜入を試みる―魂を揺さぶる感動の長篇時代小説。


書き下ろしが多い葉室さんですが今回の作品は『小説トリッパー』に連載されたものに加筆修正した作品です。

日坂藩士、郡方筒井恭平のかっての恩師、梶与五郎が隣藩で殺された。続いて同じ教え子で友でもある穴見孫一も同じ鵜ノ島藩で遺骸となって見つかった。
恭平はその真相を探るために鵜ノ島藩へと潜入を試みる。
次第に明らかになっていく真実、浮かび上がってくる恩師の本当の姿。
真の教え、そして学びとは?友情とは?自分のことを大切に思ってくれるひとの心を大事にして、好きなひとへの愛を貫く。
恭平たちと子供たちが重なりあうラストは胸がじーんと熱くなってしまいました。

葉室さんらしいいぶし銀とも言える作品でした。

派手さはありませんがじんわりと心に届くものがある感動作です。

『桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く』

作中なんどもでてくる言葉ですがこの言葉を噛みしめながらゆっくりと何年かかってもいいからしっかりと自分の生きていく道を見つける。

慌しいこの世の中ですが、だからこそ本当の意味での〝ゆとり教育〟
その大切さを教えてくれる作品でした。


00:18  |  本(は行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.06.29 (Tue)

影法師 百田尚樹

影法師影法師
(2010/05/21)
百田 尚樹

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内容(「BOOK」データベースより)
光があるから影ができるのか。影があるから光が生まれるのか。ここに、時代小説でなければ、書けない男たちがいる。父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした十四の秋。それから―竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵は、その死の真相を追う。おまえに何が起きた。おまえは何をした。おれに何ができたのか。


『風の中のマリア』で本邦初のスズメバチを主人公にした小説を書いた百田尚樹さん。
今回は初の時代小説です。
百田さんはデビュー作『永遠の0』のときから新刊がでればずっと読んでる好きな作家さんのひとりです。
毎回、違ったジャンルに挑戦する意欲はすごいものがあるし、どの作品も読みやすくてリーダビリティの高さは流石だなと思います。

前作の『モンスター』は面白いことは面白かったのですが個人的にはもうひとつといった感想だったのですがこれはよかったです。

はっきりとした身分制度があった武士の時代。
下士の出ながら異例の出世を果たし筆頭国家老にまでなった名倉彰三。
彰三には運命的な出会いをした刎頸の友、磯貝彦四郎がいた。
文武両道、天才的な彦四郎は彰三のあこがれの存在でもあった。
そんな彦四郎がなぜ落ちぶれて淋しい最期を遂げなければなかったのか。
彰三の回想とともに物語はその謎にせまっていきます。
終盤に向かって一気に読ませる迫力たっぷりの面白さ。
徐々に浮かび上がってくる真実に胸がじんじんしてくる。
そして最期に彦四郎という人物の真の思いに気づいたときには切ない痛みとともに深い感動が押し寄せてくる。
『影法師』というタイトルからも読み手はうっすらとこの物語の結末を予測することができるのですがそれ以上のものがありました。
ちょっと出来すぎって感じもするんですが、デビュー作「永遠の0」をちょこっと思い出させてくれるような感動作でした。
02:27  |  本(は行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.06.25 (Fri)

ぼくらのひみつ

ぼくらのひみつ (想像力の文学)ぼくらのひみつ (想像力の文学)
(2010/05/07)
藤谷治

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内容(「BOOK」データベースより)
こんなこと信じてもらえるだろうか。ぼくの時間は2001年10月12日金曜日の午前11時31分で止まってる。喫茶店でコーヒーを飲む、部屋に戻り昼寝をする、起き上がってぼーっとする、文章を書く、顔を洗う、町を歩く、これだけしてもずっと11時31分。そんなとき京野今日子と出逢ったから、ぼくのせいで彼女も11時31分にとどまることになってしまった。やがてぼくらは思い立って、ある計画を考えるのだけど…止まっているこの時から、ぼくらはゆっくり歩き出す。スローモーションの新・青春小説。


本屋大賞候補になった『船に乗れ!』を読んでとてもよかったのですが今度の『ぼくらのひみつ』は毛色がちょっと違うみたい。

読む前からそんな予感がしてたのですが予感したとおりと言っていいのかなって作品でした。

なんせ、早川書房『想像力の文学』シリーズです。
このシリーズを読むのは瀬川さんの『ミサキラヂオ』津原さんの『バレエ・メカニック』に次いで三冊目ですが、特に『バレエ・メカニック』には苦戦しました。

2001年10月12日午前11時31分で止まってしまったぼくの時間。背中にはなぜか麻袋が張りついている。
周りの人たちは動いているのに僕だけが先の時間に進めない。

主人公が止まった時間のことをノートに綴りそれを読んでいくといった形式で物語りは進行していきます。
永遠と繰り返される1分間。なぜこうなったのかが主人公のぼくも読み手である僕にもさっぱり理解できない。

別れた彼女「ウルフ」の話し、カポーティの「冷血」、チェスの話し、哲学的な話し、退屈な時間の中で京野今日子と出会い二人で旅に出る。

いろんな話しが語られるんだけどそのどれもがもよく判らない。
訳のわからないことが淡々と続く不条理な展開にちょっとイライラしながら途中で投げ出しそうになってしまった。
しかしながら読みやすい文体とセリフでなぜか最期まで読ませてくれる不思議なチカラをもった小説でもありました。

結局、読み終わったあとも、なぜこうなったのか、何を伝えたかったのか、よくわかりませんでした。

終わりのほうに主人公のこんな言葉があるんですよね。

「忘れてはいけない。想像力によって人はすべてを理解する」

僕にはまだ想像力が足りないようです

ストーリーに関係あるのか無いのかよくわかりませんが主人公のぼくの時間が止まる1ヵ月前の2001年9月11日にって日はニューヨーク同時多発テロ事件が起こった1日だったんですよね。

なぜかそれが読み終わったあともずっと頭の中に残ってました。
03:24  |  本(は行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

2010.06.17 (Thu)

MUSIC 古川日出男

MUSICMUSIC
(2010/04)
古川 日出男

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内容(「BOOK」データベースより)
響き、響き。き、キキキ。聞こえてくるよ、猫笛、祝祭、大地の歌声―。青山墓地で生まれた無敵の天才野良猫スタバ。猫笛を操る少年佑多。学校を離れ独り走る俊足の少女美余。恋人を亡くした性同一性障害の北川和身。猫アートの世界的権威JI。孤独な人間たちは一匹の猫によって、東の都東京から西の都京都へと引き寄せられ、ついに出会う。そして究極の戦争が始まった…。溢れる音楽と圧倒的なビートで刻まれる、孤独と奇跡の物語。


疾走する無敵猫スタバ、猫笛を操る少年佑多、韋駄天少女美余、性同一障害のかずみ、腕の長い猫アーティストJI、四人と一匹の物語。

田淵佑多は13歳、11歳の夏までは猫たちを数えて勝負する世界の天才児ユウタとして名を馳せていた。
まだ名前はなかったが生命力の突出した猫のスタバ。
佐藤美余はシュガーという名前を小学校の校庭に埋めてきた。
かずみは肉体はひとつだが性はふたつある。北川和身と和美。だからかずみ、響きだけのkazumiがいた。

佑多が青山霊園でスタバと出会う。
極めつきの武闘派、無敵の天才猫スタバ、猫笛を鳴らして猫たちを率いるスキンヘッドの佑多。
青山から赤坂へ、行進がはじまる。
中学二年生同盟の美余と邂逅して西へと向かう、大都会東京から古都京都へと。

古川さんの作品はこれがお初でしたが、極端に短いセンテンスの文章、リズミカルで独特な文体は刺激的で魅力的で思わず音読したくなるほどでした。
ただ言葉の面白さは楽しめたのだけれどブツ切りで進行するドラマは個性的すぎて振り落とされてしまって物語を見失ってしまってなかなか楽しめなかった。

青山霊園での佑多とスタバの出会い、鴉たちとの闘い、京の天空を縦横無尽に駆け巡るスタバ、それら場面々々はすごく映像的で刺激的で理屈抜きの面白さがありました。

あまり深く考えずにリズムに乗って歌うように読むってことがこの作品には必要なのかもしれないと思った。
11:05  |  本(は行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
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