2017年11月 / 10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2010.08.13 (Fri)

風待ちひと  伊吹有喜

風待ちのひと風待ちのひと
(2009/06/19)
伊吹 有喜

商品詳細を見る

“心の風邪”で休職中の男と、家族を亡くした傷を抱える女。海辺の町で、ふたりは出会った―。心にさわやかな風が吹きぬける、愛と再生の物語。第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作。
内容(「BOOK」データベースより)


初めて読む作家さんでした。
「風待ちのひと」ってタイトルがウインドサーファーの僕にぴったりだなぁ~っと思って読み始めましたが物語は当然ウインドとはまったく関係ありません(笑)

最初、有喜って名前から作家が男性なのか女性なのかわからないまま読み始めましたが文章の雰囲気から女性作家さんだとすぐ気づきました。

物語は簡単に言ってみればアラフォーの男と女が海辺の町で出会ってひと夏の恋に落ちていくといったなんかどこかにあったような話しなんですがこれがすごく心に染みこんでくるのです。

主人公の哲司は東大卒のエリート銀行員、妻は同級生で外資系の証券会社でバリバリのキャリアウーマン。
哲司は銀行の吸収合併で次第に窓際へ、年収を妻にはるかに抜かされて仕事にも家庭にも疲れを感じるようになった。
そんなときに母が死にそれをきっかけにしたように首が右に回らなくなり会社に行けなくなってしまった。
病院で精神的なものと診断され休職して静養をかねて母の実家を整理するために実家のある南紀の海辺の町へ。

そこで「ペコちゃん」と呼ばれる喜美子に出会って彼女に母親の遺品整理を手伝ってもらうことに。

愛嬌たっぷりの喜美子は屈託なくずけずけと哲司の心に入ってくるので最初はおせっかいな女やなぁーっと思ってたんですがそんな喜美子にも子供と夫を亡くすといった心の傷を負った過去があった。
それなのにそんな自分の過去のことはおくびにも出さず、どこまでも明るく自分のことをバカでおばちゃんだと言う喜美子が途中からはとっても可愛くていい女に見えて抱きしめたくなってくる。

そんな喜美子のおかげで哲司は徐々に人間らしさを取り戻していく。

そのあとも哲司と妻、喜美子のまわりでいろんなドラマが巻き起こるのですが、いまからでも遅くない、もう一度人生を二人で再生しよう、こうやって書くとなんか陳腐な気がしてしまうんですがそこにいきつくまでの二人の心の葛藤、距離感があったかくも切なかった。

主人公の二人は僕より少し年下なんですが読みながら自分自身の今までの人生と重ね合わせてしまって、いろんな思いが僕の頭の中を駆け巡り、心が揺さぶられて、熱い何かが込み上げてくるのを抑えられない、そんな物語でした。

南紀の海辺の町、岬の家、オペラ椿姫、チキチキ南蛮、といった風景、音楽、食べ物といった小道具も憎いぐらいに物語にマッチしてましたね。


スポンサーサイト
11:43  |  本(あ行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(1)

2010.08.10 (Tue)

バイバイブラックバード  伊坂幸太郎

バイバイ、ブラックバードバイバイ、ブラックバード
(2010/06/30)
伊坂 幸太郎

商品詳細を見る

太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像を膨らませて創った、まったく新しい物語。1話が50人だけのために書かれた「ゆうびん小説」が、いまあなたのもとに。内容(「BOOK」データベースより)

50人のために書かれた5編の短編と書き下ろしの1編からなる連作短編集です。

物語の設定も装丁もタイトルもお洒落でセンスのよさを感じさせてくれます。

物語は5人の女性とつきあってる調子のよいけど憎めない星野一彦が何らかの理由で監禁され2週間後にはバスに乗って連れ去られてしまうらしい。
〈あのバス〉とはまぐろ漁船よりもひどい場所みたいだ。
星野はバスに連れて行かれる前に5股の女性に別れの挨拶をさせてくれと監視役の繭美に頼み込む。
そして繭美と一緒に、繭美と結婚するという口実のもとに5人の女性に会いに行く。

この監視役の繭美が強烈で性格もまったく可愛げがなくて外見も身長180cm体重180kgとまるで相撲取り。
つきあってる女性も個性豊かで主人公の星野を含めて登場人物すべて濃いキャラしてます。
ウィットに富んだ会話、小気味のよいジャブの応酬みたいなテンポのよさと伊坂さんらしさを十二分に楽しんで読むことが出来ました。

ありえない話しだしバスの正体もよくわからないのですがそれがかえって読み手の想像力を刺激してくれます。
最後の終わり方も中途半端だけどとっても素敵だと思いました。

あと最初はとんでもなく嫌な女だった繭美が最後にはなぜか愛しさまで感じてしまいました。




03:26  |  本(あ行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(0)

2010.07.27 (Tue)

金曜のバカ  越谷オサム

金曜のバカ金曜のバカ
(2010/01/30)
越谷 オサム

商品詳細を見る

天然女子高生と気弱なストーカーが繰り返す、週に一度の奇天烈な逢瀬のの行き着く先は――?(「金曜のバカ」) ピュア過ぎてアブノーマルなヤツらが繰り広げる妄想と葛藤! ちょっと変でかわいい短編小説集

越谷さんの小説を読むのは『階段途中のビッグノイズ』以来二作品目です。
『階段途中のビッグノイズ』は軽音楽部だった高校時代を思い出してちょっとベタだなぁーっと思いながらも楽しく懐かしく面白く読めました。
今回の『金曜のバカ』は五つの作品からなるキュートでロマンチックで爽やかな青春小説短編集です。
これも見事にやられてしまいました。

若いっていいよなぁ~青春だなぁ~ 読みながらおっさんなのに妄想男子だった昔を思い出して胸がズギューンとして知らない間に、にやけてしまう。

タイトル作の『金曜のバカ』は、んん?援交?なんだなんだ?今どきの女子高生は・・・なんて勘違いさせてくれる出だしから始まって天然女子高生とその女子高生を運命の人だと思い込んでしまう妄想引きこもりストーカー青年が決闘するというありえない展開へと話が進んでいく。

『星とミルクティー』は妻の初めてのお産に立ち会うべく病院へ急ぐ主人公がなぜか八年前の流星群の夜に一度だけ出会った顔をよくわからない女の子のことを思い出してしまってどうしようもなくなる。

『この町』は愛媛県松山に住む高校生のカップルが主人公で彼が彼女を誘ってお正月東京へバスで遊びにいくことを計画して彼女とあんなことやムフフなことやあぁーやってこーやってと妄想を膨らまして期待に胸を躍らせてバスへ乗り込んだのに彼女はドタキャン・・・

『僕の愉しみ 彼女のたしなみ』は恐竜オタクの主人公がそれをひた隠しして彼女と付き合ってデートするのですが彼女にも人に言えない・・・

『ゴンとナナ』は吹奏楽部を辞めたナナと飼い犬の老柴犬のゴンのちょっぴりホロ苦い物語。

どの作品もオバカであったかくてちょい切なくて楽しんで面白く読めたのですが自分の高校時代の妄想をたっぷりと思い出させてくれた『この町』とむっちゃいじらしくて可愛らしくて微笑ましい『僕の愉しみ 彼女のたしなみ』が特にお気に入りです。

05:51  |  本(か行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(0)

2010.07.27 (Tue)

光待つ場所へ  辻村深月

光待つ場所へ光待つ場所へ
(2010/06/24)
辻村 深月

商品詳細を見る



T大学文学部二年生、清水あやめ。「感性」を武器に絵を描いてきたという自負がある。しかし、授業で男子学生・田辺が作った美しい映像作品を見て、生まれて初めて圧倒的な敗北感を味わい…。内容(「BOOK」データベースより)


短編三作からなる辻村さんの青春小説集。三篇とも以前発表した長編作品のスピンオフになっています。

僕は『スロウハイツの神様』『凍りのくじら』は読んでいたのですが辻村さんの独特の世界観を楽しむためにはすべての作品を読まないと面白さが半減しちゃうんだろうなぁ~
それでもひとつひとつの短編は味わい深く読めました。
辻村さんって最近は作品の幅が広がってきてますが元々青春ミステリー小説を中心に書いてきたのでミステリーではない短編ですがやっぱりうまいです。

青春の持つ瑞々しさと切ないイタミ、心の葛藤と不安といった心理描写は描くのは抜群です。

この作品集の『光待つ場所へ』ってタイトルもすごくいいですよね。

青春の冷たくて暗い迷い道に一筋の柔らかな光が射している。その光を目指して歩み始める。そして切ないイタミはあったかな光に包まれる。

読み終わったあと僕の頭の中にはこんなイメージが浮かんでました。
05:04  |  本(た行の作家)  |  トラックバック(1)  |  コメント(0)

2010.07.18 (Sun)

ええもんひとつ とびきり屋見立て帖   山本兼一

ええもんひとつ―とびきり屋見立て帖ええもんひとつ―とびきり屋見立て帖
(2010/06)
山本 兼一

商品詳細を見る

幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆず。わけありの道具を「見立て」、癖のある人々を「目利き」しながら、ふたりは少しずつ成長してゆく―。動乱の京都を舞台に、「道具」と夫婦愛を描いた佳品六篇を収録。
内容(「BOOK」データベースより)


幕末の京都を舞台にして道具屋『とびきり屋』を営む真之介、ゆずの若夫婦の成長物語。『千両花嫁』の続編です。
二人はもともと京都でも名代の道具商『からふね屋』の愛娘と番頭だったんですが駆け落ちして夫婦になりました。
熱意と度胸で店を切り盛りしていく真之介を確かな目利きの眼力でゆずがサポートする。
いろんな道具にまつわる物語に幕末の志士が絡んでいく展開は楽しく読めました。
一話ごとに二人が失敗と成功を繰り返しながら力を合わせて成長していく姿にはあったかな夫婦愛を感じていいなぁ~と思う。
『ええ女房や』と真之介がつぶやけば『旦那さんが、ええさかいやし』とゆずが切り返す。とてもお似合いの若夫婦の姿にはにんまりとして思わずほっこり。
ゆずのキャラクターがとってもいいですね。
04:11  |  本(や行の作家)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)
 | HOME |  NEXT
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。